ラーメン官僚かずあっきぃが行く! 三杯目『煮干しラーメンゼクウ』@群馬・桐生

ラーメン食べ歩き歴35年。TRY審査員として一都三県の新店、名店はもちろんのこと、日本全国のラーメン店の情報に精通しているラーメン官僚かずあっきぃ氏。年間平均730杯、総実食杯数は21500杯(2025年10月時点)というエキスパートが、最近食べ歩いた地方のラーメンで、特に印象に残った一杯を連載形式で紹介していきます。
今回ご紹介するのは、2021年8月6日、群馬県桐生市にオープンした『煮干しラーメンゼクウ』。
営業時間は7時から13時! 煮干しラーメンの新たな可能性を感じることができる一杯

同店の店主・東宮氏は、2014年7月31日に開業し、瞬く間にスターダムへとのし上がった桐生市の名店『らーめん芝浜』の出身。『芝浜』は、朝ラーメンの習慣が必ずしも十分には根付いていなかった群馬のラーメンシーンにおいて、いち早く朝営業を始めるなど、同県のカルチャーに多大な影響を及ぼした立て役者。
『ゼクウ』も、そんな『芝浜』に倣い、営業時間を7時から13時までに設定するなど、朝ラーメン文化の精力的な普及に努める。師匠と弟子が二人三脚で群馬のラーメンシーンを盛り上げる。まさに、理想的とも言える協働が桐生の地で実現している。

そんな『ゼクウ』のロケーションは、相老駅(東武鉄道桐生線、わたらせ渓谷鉄道)から約1km。最寄り駅は桐生球場前駅(上毛電気鉄道上毛線)だが、公共交通機関を活用して他県からアプローチするのであれば、相老駅から徒歩でアクセスするのがもっとも効率的だろう。
煮干しと鯖の味わいが「龍虎」の如くせめぎ合う垂涎の味わい!

『煮干しラーメン』を屋号に冠することからもお分かりのとおり、同店が繰り出すのは煮干し系メニューが中心。基本メニューである「煮干しラーメン(醤油・塩)」を除き、提供する麺メニューは日々、目まぐるしく変わる。煮干しを強めに利かせた「ニボルキャリバー」、煮干しに鶏を重ねた「ニボルケイン」など、独特の名称を冠した一杯が提供されるのが、同店の特徴だ。
恥ずかしながら私は、『ゼクウ』への訪問は、今回が初めて。本来であれば、基本メニューをいただくのが定石であることは重々承知していたが、煮干しと鯖をミクスチャーさせたという「ニボルムンク(醤油)」の誘惑に抗し切れず、同品をオーダー。

厨房でのオペレーションは実にスムーズ。3分程度の待ち時間で、注文の品が卓上へと供された。
煮干しの旨みを頭の先から尾の先まで搾り取り、渾身の力を込めて余韻深き鯖の甘みとかち合わせたスープは、煮干しと鯖の味わいが「龍虎」の如くせめぎ合う垂涎の味わい。旨み、甘み、滋味、苦み、そしてえぐ味。啜る度に、食味を構成するすべての要素がシームレスに溶け合い、舌上で激しく渦を巻く。
幾ばくかの時を経ると、それらがすべて滋味の極点へと回帰するさまも、実にドラマティック。数多くの煮干しラーメンを食してきた私にとっても、時間の経過と共に、ここまで食味が千変万化する一杯に出逢った経験は、記憶を辿れど、皆無に近い。
中細麺のザクザクとした咀嚼のリズムが、スープの余韻を一層際立たせる
このスープに合わせる中細麺は、低加水ならではのパツンとした歯触りが、軽妙な食感を刻む逸品。煮干しスープと絶妙に噛み合い、ザクザクとした咀嚼のリズムが、スープが奏でる余韻を一層際立たせる。群馬は全国的に見ても、優良店の水準が極めて高いラーメン先進県であるが、その実力の一端がまざまざと垣間見えたような気がした。

営業時間は13時まで。県外に住む方々にとっては、ハードルの高さはかなりのものだとは思うが、是非、万難を排して足を運んでもらいたい。必ずや、煮干しラーメンの新たな可能性に触れることができるに違いない。
『煮干しラーメンゼクウ』店舗情報
- 住所:群馬県桐生市相生町2-588−38
- 交通:上毛電気鉄道上毛線桐生球場前駅より徒歩10分、東武桐生線ほか相老駅より13分
- 公式X:https://x.com/pXRRYPwxS2Q2Rvp
※詳細は公式SNS等でご確認ください
『田中一明』プロフィール

通称「ラーメン官僚かずあっきぃ」。食べ歩きのペースは年間平均730杯。日本全国のラーメン店の情報に精通していて、主な名店はほぼ実食済み。テレビや雑誌、Webなどメディア露出も多く、情報発信の場は多岐にわたる。