ラーメン官僚かずあっきぃが行く!一杯目『せいめん未さく』@愛知犬山「わんたん(2個)入り塩らぁめん」

ラーメン食べ歩き歴35年。TRY審査員として一都三県の新店、名店はもちろんのこと、日本全国のラーメン店の情報に精通しているラーメン官僚かずあっきぃ氏。年間平均730杯、総実食杯数は21500杯(2025年10月時点)というエキスパートが、最近食べ歩いた地方のラーメンで、特に印象に残った一杯を連載形式で紹介していきます!
自家製麺と鶏清湯(とりチンタン)を主軸に据えたラーメン店

今回私がご紹介するのは、2024年3月9日、愛知県犬山市にオープンした『せいめん未さく』。
店舗の場所は、犬山駅(名鉄犬山線)から徒歩約4分(約250m)。「現存12天守」のひとつで、天守が国宝に指定された名城「犬山城」。「尾張の小京都」とも呼ばれるその城下町の喧騒から適度に距離を置いたロケーションに店を構える。
歴史の流れと現代とが心地良く交ざり合う犬山の地に、自家製麺と鶏清湯(とりチンタン)を主軸に据えたラーメン店が新たに加わった形だ。
※鶏清湯とは、鶏ガラや鶏肉などを弱火でじっくり時間をかけて煮込んで作られた澄んだスープのこと。
同店のラーメンは、愛知が誇る名地鶏「名古屋コーチン」から採ったダシに、自家製麺を合わせた、「繊細と贅の極み」とでも称すべき一杯。レギュラー麺メニューは、「醤油らぁめん」と「塩らぁめん」の2種類。好みに応じて「自家製わんたん」、「名古屋コーチン味玉」等のトッピングを加えることも可能だ。
名古屋コーチンの滋味と貝や羅臼昆布等の芳醇の旨み溢れるスープ

私のお薦めは、「わんたん(2個)入り塩らぁめん」。
啜り上げた瞬間、感知できるのは、精緻に磨き上げられた出汁感。高い透明度を誇るスープから滾々(こんこん)と湧き上がる「名古屋コーチン」の滋味が、口腔をしっとりと潤す。
鶏滋味の堅固な土台の上を悠々と舞い泳ぐ、貝、羅臼昆布等の芳醇な旨みも、スープの味わいを一段上の高みへと昇華させる役割を全う。
複数の素材を幾重にも重ね調和させることで、風味の繊細なグラデーションと、透明な秋風のごとき清冽な余韻を演出することに、見事に成功している。
他方、塩ダレは、味覚の奥深くを鋭く穿つ凛然たる味わい。
出汁の「柔」と、塩ダレの「剛」。一見相反するベクトルを有する両者(出汁とタレ)を、緻密な計算と巧みな手腕により一所(ひとところ)にまとめ上げ、レンゲを持つ手が止まらない味わいを紡ぎ出すことに成功している。
瑞々しくしなやかな自家製ストレート麺
そんなスープに合わせる麺は、毎朝丹念に打ち込む自家製ストレート。鏡面のように滑らかな麺肌は、瑞々しくしなやか。啜るたびに、適量のスープのまといながら喉元を滑り落ちる。トッピングのワンタンも、肉餡の存在感と繊細な皮のバランスが絶妙。ほのかに香る生姜の風味も、後味に軽やかなアクセントを添える。
店主は、春日井市の人気店で修業を重ねた後、満を持して独立。
スープ、麺からトッピングに至るまで、一切の妥協を許さない。「製麺」と「生きた麺」の二重の意味合いを持たせた「せいめん」の屋号には、「未来に向けて良いものを作り続ける」という覚悟も込められる。
断言する。
この「塩らぁめん」は、もはや地方店の領域に収まるものではない。
城下町散策のついでに、又はラーメンを目的に、懐古とモダンが交錯する『未さく』の空間で、是非、鶏清湯の極みを堪能してもらいたい。
『せいめん 未さく』店舗情報
- 住所:愛知県犬山市東古券312-2
- 交通:名鉄犬山駅徒歩約4分
- 公式SNS:https://www.instagram.com/seimenmisaku
※詳細は公式SNS等でご確認ください
『田中一明』プロフィール

通称「ラーメン官僚かずあっきぃ」。食べ歩きのペースは年間平均730杯。日本全国のラーメン店の情報に精通していて、主な名店はほぼ実食済み。テレビや雑誌、Webなどメディア露出も多く、情報発信の場は多岐にわたる。